明治時代の教科書より:実用知識「焼物と塗物」

機械工業と違って、人の手を用いる工業は昔から日本ではとても進んでいました。
特に焼物、塗物はその名が外国にまで聞こえていました。

茶碗、土瓶、皿などの多くは焼物で、膳、椀重、箱、盆などは多くが塗物です。

焼物をつくる

焼物をつくるときは、土または石を砕き、粉にして練り固め、または”ろくろ”にかけたり、
手でひねったりして、思うままの形につくります。
そして日陰で乾かし、竈に入れて焼きます。
これを素焼きといいます。茶碗、土瓶、皿などは、この素焼きにさまざまの模様を描いてうわぐすりをかけて
ふたたび焼いたものなのです。

塗物をつくる

また塗物は、多くは木を組み、または繰った上に漆をぬって作ります。
漆は木の皮に傷をつけ、流れ出てくる汁を取って作ったものです。塗物の中には蒔絵をしているものもあります。蒔絵とは漆を塗った上に金粉、銀粉などでさまざまな模様を
描いたものです。
 

尋常小学校読本 明治37年

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