明治時代の教科書より:実用知識「染料」

青色の染料の原料

染料には種々ありまして青色には多くの場合、藍を用います。藍は温暖で多湿の土地によくできる植物です。徳島県でよくとれます。 また山靛(やまあき)というものがあり、多くは九州の南方にできます。これで染めたものは たびたび洗濯しても色がおちません。
山靛
薩摩綛(さつまがすり)、琉球上布などはこれで染めたものです。

赤色の染料の原料

赤色には紅、茜などを用います。  

黄色の染料の原料

黄色にはウコン、クチナシ、刈安(かりやす)を使います。

黒色の染料の原料

黒色には檳榔子(びんやし)、五倍子(ごばいし)、鉄漿などを用います。  
刈安
イネ科の植物。延喜式にものっている黄色染料です。
檳榔子(びんやし)の木
五倍子(ごばいし)
ヌルデという植物の葉をヌルデシロアブラムシという虫が傷つけることにより「虫こぶ」という袋状のものを作ることがあります。この袋状の物体の成分をインキ,染料の製造原料にすることができます。

染料の配合

このほか、萌黄色を染めるには黄と青、紫色を染めるには赤と青を交えます。 このように配合していろいろの染料を作るのです。 石炭ガスをつくるときにアニリンというものがとれます。このアニリンから 紫色の染料を得ることができます。これに媒染剤を加えるとさまざまの色ができます。 科学の進歩につれてさまざまな染料が発明されました。  
鉄漿とは?
お歯黒(はぐろ)のこと。鉄屑(てつくず)を焼いたものを濃い茶の中に入れ、これに五倍子(ふし)の粉を加えてその液で歯を染める。   高等小学校国語 明治34年

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