おふろで大きさをはかる人

むかし、頭のよい人がいました。 ある人が彼に向かって、「私の体を枡で測ったら、どのぐらいの大きさがあるだろう。方法があれば測ってみてください」といいました。 言われた人は「かんたんなことだ」といって、ふろに水を十分にためました。 これに先程の人を入れて、頭までしずませた後、外に出ました。 ふろの水ははじめ、その縁までいっぱいにみちていましたが、人が入ったので上からあふれて、その人の体の分だけへりました。 たのまれた人は、そのへった分をはかりながら、ふろにくみ入れて、元のとおりに水をみたしました。 終わったあと、はかった人は相手に言いました。 「今みたように、あふれたあとにくみ入れた水はニ斗一升五合だったので、つまりそれがあなたの体を枡ではかった大きさです」 相手ははかった人の頭のよさに感心しました。 高等小学国語読本5_明治34年

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