子どもむけ

明治時代の教科書より:「紙で作ったかえるが動いた」

子どもたちがたくさん集まっていました。 その中の一人が、紙を折って作ったかえるを出して 「これは生きている!」 と手をはなしました。 するとふしぎなことに、紙のかえるはそろそろと動きはじめました。 みな、ふしぎに思ってみていました。 やがて一人がかえるに息を吹きかけてみると、かえるはひっくりかえって、こがね虫があらわれました。 「ああ、これがタネだ」 と、みんなが手を打ってわらいました。 次の日、またべつの子がいいました。 「おもしろいものを作ったから、みんな見にきて」 みると、うつわにはった水の上を、木でつくった鳥があちこち泳いでいました。 「これはおもしろい。どうやったの?」 ときくと、昨日のかえるを見てから、いろいろ工夫して、木で鳥を作って、それを糸で魚のフナの尾にむすびつけたのだ、と言いました。 小学国語読本より

おふろで大きさをはかる人

むかし、頭のよい人がいました。 ある人が彼に向かって、「私の体を枡で測ったら、どのぐらいの大きさがあるだろう。方法があれば測ってみてください」といいました。 言われた人は「かんたんなことだ」といって、ふろに水を十分にためました。 これに先程の人を入れて、頭までしずませた後、外に出ました。 ふろの水ははじめ、その縁までいっぱいにみちていましたが、人が入ったので上からあふれて、その人の体の分だけへりました。 たのまれた人は、そのへった分をはかりながら、ふろにくみ入れて、元のとおりに水をみたしました。 終わったあと、はかった人は相手に言いました。 「今みたように、あふれたあとにくみ入れた水はニ斗一升五合だったので、つまりそれがあなたの体を枡ではかった大きさです」 相手ははかった人の頭のよさに感心しました。 高等小学国語読本5_明治34年