麦畑に、巣をつくったひばりがいました。
えさをとりに行くとき、ひなに
「よく気をつけなさい」
と、言い残しました。
親鳥が、餌をとって帰ってくると、ひなが言いました。
「さっき畑の持ち主が来て『麦刈りを隣の人にたのもう』と言っていました」
親鳥はこれを聞いて
「心配することはないよ」
と、いいました。
次の日、親鳥がえさをとって帰ってくると、ひなが言いました。
「畑の持ち主が来て『友達に麦刈りを頼んだ』と言っていました」
しかし、親鳥はいいました。
「まだまだ心配することはないよ」
その次の日も、親鳥は餌をとって帰ってきました。
ひなは言いました。
「今日は、畑の持ち主とその子が来て『自分たちで麦刈りをしよう』と話していました」
今まで平気な顔をしていた親鳥ですが、この話には、とても驚きました。
「さあ、それでは私達も覚悟しなくてはならない」
そして、ひなを連れて、麦畑を飛び去っていきました。
かしこい親鳥は、
「隣の人に頼むようでは、まだ心配ないけれども、畑の持ち主がみずからやろうというなら、間違いなくそうするだろう」
と思って、飛び立ったのでした。