上杉鷹山(うえすぎ ようざん)は米沢のお殿様でした。地元を栄えさせ、人々の幸せを願った人でした。 鷹山は14歳のときから江戸で細井平洲という学者の下で学問をしました。 後に平洲が江戸から米沢に招かれたことがあります。 このとき平洲はもう70歳近い年寄りでした。 鷹山は平洲が長旅で疲れないよう、いろいろ気をつかいました。 平洲が米沢の近くにくると、鷹山はわざわざ町はずれまで迎えに出ました。そしてある寺の門の前で平洲を待ち受けました。 そのうちに平洲の乗った籠がつきました。 鷹山は「先生、ごきげんよろしうございます。」と丁寧に挨拶をすると、あとは言葉もなく、ただなつかしさに涙ぐむばかりでした。 それから休んでもらうために平洲を寺に案内しましたが、門を入って長い坂をのぼるのに、鷹山は平洲より一足も先に出ず、また平洲がつまづかないよう気をつけて歩きました。 寺につくと、座敷にとおして 「先生、さぞおつかれでございましたでしょう。」 といってなぐさめ、心をこめてもてなしました。 ※上杉鷹山(上杉治憲):米沢藩9代目当主