日本人の知らないアメリカ

なぜアメリカの真似をする国は失敗するのか?理由は2種類の白人たち

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世界で最もアメリカへの憧れが強い国、それはフィリピンでしょう。
しかしフィリピンはASEANの中でも経済的に下位グループに位置し、第三世界扱いされています。治安も悪いです。
(関連記事:「白人の真似ばかりの国 フィリピンは日本の未来か?」)

米領プエルトリコもアメリカの正式な州昇格を望む民が97%を占める、親米の地域です。しかし2017年に財政破綻したことは記憶に新しいです。

またアフリカにリベリアという国があります。もともとアメリカの黒人奴隷だった人々が、アメリカをモデルにして作った国であり、現在でもアメリカとの繋がりが深いです。しかし、世界最貧国の一つです。

日本の成功も、リードしたのは戦前教育を受けた世代でした。アメリカの模倣をよしとする敗戦後の教育を受けた世代が主流になってからは、衰退する一方です。
(関連記事:「経済大国を作った戦前世代、失われた20年の戦後世代」)

 

・・・アメリカの真似をして成功した国は、今のところ、世界に一つもないんじゃないかと思います。

なぜアメリカ合衆国は世界一の先進国なのに、それを真似る国は貧困に陥るのでしょう?

それは、おそらく、アメリカが他の国と違う、特殊な成立の仕方をした国だからだと思います。

そこに気づかず、表面的な部分だけ真似ると、失敗してしまうのです。

 

 

見えない壁 アメリカの2種類の白人たち

見た目だけだと、アメリカ白人はみな同じに見えますね。
しかし実際は、社会的に大まかにわかれる、2つの層があります。

タイプA: 植民地時代~ゴールドラッシュ前の移住者と、その子孫(旧移民)

タイプB: ゴールドラッシュ以降の移住者と、その子孫(新移民)

 

アメリカの上流特権階級といわれるWASPや、アーミッシュなどが、タイプAにあたります。
(関連記事:
上級国民WASPとは何か?ヒラリーさんとブッシュ氏の差
アメリカで人口を増やし続ける白人集団 アーミッシュとは?」)

 

一方、日本人のようなアメリカに憧れる有色人が接する機会が多いのが、タイプBの人たちです。

 

旧移民とは? 理想を求めて未開の地にとびこんだ堅物たち

タイプA 旧移民の先祖は主に、以下に属する人々です。

  • 信教の自由を求めて新大陸を目指した人
  • 英王室の方針に同調した人
  • 新大陸での商売を目的とした貿易商
  • 上記の人々の使用人

特に代表的なのが上2つの人々です。ヨーロッパの中でも、堅物だった人たちです。

 

信教の自由を求めた人

メイフラワー号で渡ったピューリタンが有名ですが、他にも、ヨーロッパの新宗派のプロテスタント信者が多々、移住しました。
ペンシルバニア州というのがありますね。あれは実はクェーカー教徒だったウィリアム・ペンの名前に基づいています。
ペン氏の森林(=ラテン語でシルバニア)という意味なのです。

 

英王室の方針に同調した人

1600年代はじめに在位したジェームズ1世はスペインへの対抗心が強い王でした。彼は新大陸で生まれた者もイギリス国民として認めました。またカトリックに対抗して、プロテスタントである英国国教会の伝播にも熱心でした。
アメリカ初の植民地、バージニア州は、ジェームズ一世の権威の下、キリスト教のプロパガンダを目的に成立した植民地であると、設立時に宣言されています。

 

・・・タイプAの旧移民の人々は、後から来る新移民たちと文化的に断絶したところがあります。

なぜなら、アメリカが独立してイギリスから離れた後、50年近くに渡って、アメリカに渡る移住者が激減したからです

大英帝国でなくなったアメリカという国に期待するヨーロッパ人は、当時あまりいなかったということかもしれません。

そんな中、敢えて移民を選ぶ人も、信教の自由を求めたプロテスタントがほとんどでした。当時のアメリカ人のプロテスタントの割合は95%にのぼったといいます。

ゴールドラッシュなどにより移民が激増するまで、彼らは主に自国内での出産によって人口を増やしました。1830年までに増えた人口の98%が、移民ではなく、アメリカで生まれた子供だとされています。
そして、彼らは現地民同士で地盤を固めたのです。

中でも王室派を含むイギリス系の子孫は、後に強い力をもち、大統領も多くだします。
彼らこそ、アメリカの特権階級をあらわす言葉 WASP(W:白人、AS:アングロサクソン、P:プロテスタント)を、事実上あらわす人たちなのです。
(関連記事:「上級国民WASPとは何か?ヒラリーさんとブッシュ氏の差」)

 

新移民とは? アメリカンドリームを追った人たち

アメリカから距離をおいていたヨーロッパ人たちですが、1840年代後半あたりから、新大陸を目指す人が増加します。

理由は主に、偶然にも同時期に起きた以下の3つです。

ゴールドラッシュで人口が増えたカリフォルニアは、1847年までメキシコ領でした。
アメリカ領になってまもなく、一攫千金を目指し大量に移住した人々によって、切り開かれていったのでした。

 

1846年のアメリカ。ピンクの部分のみが当時のアメリカの正式な領土です。
ペリー来日の7年ほど前の状態です。

 

加えて、記録に残せない理由で渡航する人たちもいました。

1800年代後半に活躍したフランスの作家モーパッサンの作品「ジュール叔父」には、兄弟の分の遺産を使いこんだ困り者のジュール叔父を、その家族が
「その頃よく行われていたことだが、ニューヨークへ行く商船に乗せてアメリカに送った」
という文がでてきます。

シャーロック・ホームズが登場する長編「バスカヴィル家の犬」にも、専横な祖先の悪い血を受け継いだ一族の持て余し者が、イギリスにいたたまれなくなって新大陸に渡る話がでてきます。

「風とともに去りぬ」の主人公スカーレットの父親も、原作では母国アイルランドで殺人を犯した設定でした。そして兄を頼ってアメリカに逃げ、成功して裕福になった後、スカーレットが生まれたのです。
(関連記事:「日本との重い宿命 レット・バトラー俳優クラーク・ゲーブルと日本の奇縁」)

 

「母国にいられない厄介者の行き着く国」というのが、1800年代の白人の間にあった、南北アメリカへの認識だったのでしょう。

 

南米に白人の国を作ろうとしたアルゼンチン

また、新大陸のほうにも、こうした流れに同調する国がありました。

南米アルゼンチン政府は1853年に、ヨーロッパ人でさえあれば、移民労働者を制限なく受け入れ、税金も課さないと発表します。

ラテンアメリカにメスティーソが増えたのは、もともとスペインが結婚していない女性の植民地への移住を禁じていたためでした。そのため現地民の女性との混血が進んだのです。

そうした状態と、この時代に起きたヨーロッパ人の新大陸への移住人気の高まりをみて、独立後のアルゼンチンは南米に改めてヨーロッパ白人系の国をつくろうとしたわけです。

つまり、現在アルゼンチンにいる白人系住民の多くは、アメリカのタイプBの祖先と近い時期に渡ってきた、似たような境遇の白人の子孫だということです。

 

新旧移民の対決 南北戦争の意味

タイプBの新移民の白人たちは、もともとヨーロッパの困窮者や落伍者だったというケースが多いです。

そのため金をもうけ、成功者になることに重きを置く傾向です。アメリカン・ドリームとは彼らのための言葉でしょう。
またアイルランドや南欧など、カトリック信者が主流の国からの移民が多い点も特徴でした。

一方、

タイプAのアメリカ人は信教の自由や母国の拡張を求めた、ヨーロッパの中でも堅物だった人たちの子孫です。

先行して移民した旧移民の先祖が築いた地盤や人脈があるため、堅実にやっていれば生活に困らない人ばかりです。山師的になる必要もありません。
宗教的な理由で移民した先祖の影響で、プロテスタントにこだわりを持つ傾向です。

 

ヨーロッパの中で、正反対の層にいただろう人たち・・・この両者の子孫がひとつの国に住むことになったわけです。

無事で済むはずがない・・・その結果が、南北戦争です。

 

 

日本では一般的に、アメリカ南北戦争は、奴隷制への姿勢の違いや、南部経済のプランテーション依存が理由で起きたと教えられます。

しかし、それだけでなく、新移民 対 旧移民の対立でもあったのです。宗教的な争いでもありました。
新移民が多かった南部・民主党はカトリック教徒とルター派、
旧移民よりの北部・共和党はルター派以外のプロテスタント教徒で主に構成されていました。

 

勝利しアメリカ経済繁栄の主役となった北部側 旧移民の家系

勝利を収めたのは旧移民側の北部でした。そしてアメリカは、プロテスタントの堅物たちが国の主導権を握る状態が続くことになります。

かれら旧移民の家系からはロックフェラーなど、その後のアメリカ経済界の大人物が多く出ます。アメリカ5大財閥のうち、4財閥が旧移民の家系から生まれています。
(関連記事:「聖公会 そして日本人と交わらないアメリカ上流階級の正体」)

一方、新移民側のほうは富をめざして移民した野心家が多かったにもかかわらず、経済的に比較的不利な立場になりました。
(関連記事:「アメリカ人がどの社会階層なのか、ざっくり知る方法 富裕層の傾向は?」)

 

私個人としては、南北戦争は、アメリカという国の運命を決定づけた戦いだったのではないかと思います。

もし南部が勝利して、新移民のタイプBの人々が国を主導することになっていたら、今のアメリカ合衆国は超大国どころか、ラテンアメリカとあまり変わらない状態に陥っていたかもしれません。

 

・・・南北戦争の終結後も「貧しい生活をしている人は劣った遺伝子の持ち主」という見解が広まるなど、白人同士でも差別が激しかったアメリカ。
それも、この歴史背景があってこそだったのかもしれません。
(関連記事:「アメリカのナチズム!日本人仰天な米国の黒歴史」)

 

日本人を惑わす白人の"ごろつき"たち

 

南北戦争後、1880年頃から蒸気船が一般的になり、より安価で安全に新大陸まで渡航できるようになりました。結果、経済的な理由で渡米する新移民が更に増えます。

日本人のアメリカへの移民も、この時代から始まりますね。
(関連記事:「アメリカ国籍がもらえなかった日本人 戦前の在米日本人たち」)

そして戦後、日本が経済大国になったバブル期~90年台、アメリカ移住・留学を希望したり、アメリカ人と親しくなりたがる日本人は、とても増えました。

 

さて、日本人の特徴として・・・

・金はそこそこ持っている
・白人への憧れが強い
・でも白人間の格差やキリスト教の宗派とかは、よくわからない

こうした黄色人に寄ってくる白人はタイプAとB、どちらが多いと思いますか?

・・・当然ながら、タイプBです。
金がほしい、成功したいとやっきになっている人達です。

日系の住人が多いカリフォルニアなどの西部も、歴史的にタイプB 新移民の子孫が多い地です。

 

厳しい境遇で移民してきた、コンプレックスの強いタイプBの新移民の子孫たち。アメリカで生まれた場合でも、比較的富裕層の多いタイプAとの頑然とした格差の下で育ちます。
そのため、野心の強さはタイプAをはるかに上回ります。
(関連記事:「ハイスクールに行かないアメリカの富裕層たち。上流階級の学校とは?」)

しかし、その分、金を儲ける、出世する以上の目標を持っていないことが多いです。もちろん全員ではないですが。
そのため、いざ目標を達成すると、自律心を失って、野放図な浪費を見せびらかしたり、酒や薬物に溺れたりということもおこりがちです。
また本人が自律できても、子供がそのようになってしまうケースもよくあります。

成り上がりが多いので、富を維持するという知恵に欠けがちなのです。

 

もちろん成功なんて最初から諦めて、目先の快楽を追って、自由に自堕落に生きている人も多いです。

こうした人々もまた「アメリカ合衆国の白人」というだけで、ちやほやしてくれる非白人を喜ぶ傾向です。・・・たとえば、日本人やフィリピン人のような。

 

・・・先進国アメリカに憧れる人々の前に現れがちな、タイプBのアメリカ白人たち。
日本人のような外国人は、彼らの価値観をアメリカ的だと思いこんで、まじめに積極的に取り入れようとします。
しかし、その多くは、よくても一時的な成功しかもたらしてくれない価値観なのです。
先進国アメリカの真髄は、ほかにあるのです。

 

堅物なアメリカ人と、野心的なアメリカ人。
同じ白人の、その差を、どこで見分ければいいのでしょう?
次記事「アメリカ人がどの社会階層なのかざっくり知る方法 富裕層の傾向は?」では、日本人がよくわからない彼らを隔ててるものについて取り上げます。

 

 

https://en.wikipedia.org/wiki/History_of_immigration_to_the_United_States
https://en.wikipedia.org/wiki/Charter_of_1606#cite_note-Avalon-1
https://en.wikipedia.org/wiki/Virginia_Company
https://en.wikipedia.org/wiki/Immigration_to_Argentina
https://en.wikipedia.org/wiki/Ethnic_groups_of_Argentina

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